「日本には世界で最も古い輸入でない民主主義があった!!」
前回、ポール・リシャールの「日本の児等に」という詩を紹介しました。その「六」を思い出してください。
六
建国以来一系の天皇、永遠にわたる一人の天皇を奉戴(ほうたい)せる唯一の民!
汝は地上の万国に向かって、人はみな一天の子にして、
天を永遠の君主とする一個の帝国を建設すべきことを教えんがために生まれたり
冒頭に
「建国以来一系の天皇」とありますね。その日本の建国が、紀元前660年の2月11日なのです。皆さん知っているようにこの2月11日は建国記念日です。今年は西暦2017年ですから建国2677年目の年ということになります。ですから2月号は、日本の建国つまり日本の誕生の話です。
第一代の天皇となられたのが日本の国を建国された神武(じんむ)天皇様です。以来125代の今上天皇陛下まで一系、つまり天皇家の系統(血筋;皇統)が続いてきたのです。もちろん世界で最も古く由緒正しい尊い家柄です。
ところで皆さんは、
○「日本に民主主義が入ってきたのはいわゆる戦後であって、それまでの日本は封建主義や軍国主義の暗黒時代だった」
○「日本に民主主義を持ってきてくれたのはアメリカだった」
と教わってきませんでしたか?
昭和20年8月15日日本は大東亜戦争を戦いそして敗れました。そして勝った方のアメリカが7年間にわたって日本を占領して、日本の改造をしました。
どういう改造をしたのかって? それは決まってるよ。日本が再び強い国にならないようにだよ。だって今まで敵として戦っていたのだからね。また強い国になっては困るでしょう。
そして気が付いたんだね。日本人の精神的な強さと優秀さがどこからきているのかを。それは「日本の心」つまり「日本精神」にあった。だからそれをなくしてしまういい方法を考えたんだ。それが、
「日本の伝統的な精神は民主主義に反する悪い心で、アメリカの精神つまり『アメリカ型の民主主義』は素晴らしい。それまで苦しめられてきた日本国民を日本の悪い心から解放して、アメリカの心で幸せにしようよ」
ということを国民に信じさせることでした。そしてそれは70年たった今、すっかり日本人の常識みたいに浸透してしまったんだな。
しかし、3月11日が来ると六年前ということになるけど、あの東日本大震災の時、被災地の人々が、極限(きょくげん)状態の中にあるのにもかかわらず、冷静に整然と、そして優しさを忘れず助け合い分かち合って、たくましく乗り越えていこうとしておられる姿を見て世界中の人々が感動したのでしたが、その中にアメリカのジョージタウン大学のケビン教授が、産経新聞のインタビューに答えていた記事が印象に残っています。
○「日本国民が自己犠牲の精神で震災に対応した様子は、広い意味での日本の文化を痛感させた」
と述べ、またさらに
○「日本の文化や伝統も米軍の占領政策などでかなり変えられたと思いがちだったが、文化の核の部分は決して変わらないのだと今回思った」
という内容でした。
アメリカの占領政策で、「日本の精神は封建的で民主的ではなく時代遅れの悪い心」だとされて「本当の日本の心」を忘れさせられてきましたが、長い歴史の中で私たち日本人のDNAの中にしっかりと組み込まれたものは消えてはいなかったのですね。あのような極限状態に直面した時によみがえるのです。
さて、神武天皇さまの日本建国の話に戻りましょう。
実は、私たち日本人のDNAの中に組み込まれている民族の遺伝子としての「日本の心」が、神武天皇様の日本の建国に当たって宣言された「建国の精神」にはっきりと表れているのです。現代語訳の全文は道徳の教科書「この世に駄目な人間なんて一人もいない!!」の195ページに書いてありますから後で読んでいただくとして、紙面の都合でその中の2か所を紹介します。
「いやしくも国民に利益があることならば、聖人(天皇のご自覚)の行う政治にとって何の妨げもありません」
つまり、「日本国の政治は国民の幸福のために行う」という趣旨です。
さらに、国民のことを、「元元」と元という漢字を二つ並べて「おおみたから」(大御宝)と読ませてあります。
日本では国が誕生した時から、国民は「すべての元の元であり国の宝」とされてきたのです。
この大精神を「国民本位主義」といいます。そして「日本の精神」の基礎となっています。つまり天皇陛下が御(おん)自ら「自分のことは後回し」で、「国民のことを先に」という基本的な日本人の価値観をお示しになっているということです。
ちなみに、アメリカが持ち込んだ輸入民主主義(戦後民主主義)は、「自分のことを先に」という個人主義が基本になっています。しかし輸入でない日本の精神は、「自分のことは後回し」という「利他主義」が基本だということです。
ここでちょっと視点を変えて、民主主義の本質は何か考えてみましょうね。むつかしく考えるとややこしくなりますが、本質は2つしかありません。それは
1、国民が一番大事にされているか
2、物事は話し合いで決めているか
以上です。
日本は開国つまり国家として誕生した2677年前から「国民本位主義」だった、つまり「国民が一番大事にされる国」だったのです。民主主義のお手本みたいな国ではありませんか。この伝統はその後今日に至るまで、歴代天皇様によって引き継がれ育まれてきました。
そして歴史上多くの権力者が登場しますが、自ら天皇になろうとする人はなく、天皇陛下に認められることで「権威」を与えられ、政治をつかさどってきました。今の憲法のもとでもそうです。総理大臣は国会が指名しますが、天皇陛下から任命されて初めて総理大臣となれるのです。
ですから、この「国民本位主義」という歴代の天皇様が育まれてきた民主主義の根本思想は、日本国家の基本精神として受け継がれてきたのです。
皆さん、日本に民主主義が入ったのはわずか70年ほど前の戦後になってからで、それはアメリカが持ってきてくれたという日本人の常識が、いかに間違ったものであるかわかったでしょう。
日本には世界で最も古い輸入ではない真の民主主義があったのです。
次回以降も、引き続き「日本には輸入でない民主主義があった」というテーマで話を進めていきましょうね。楽しみにしていてください。