①2月11日は建国記念の日です。第1代神武天皇様によって日本の国が建国されて2,671年目に当たるまことにめでたい日で、昔はこの日を「紀元節」といって国民あげてお祝いしていました。
②今の天皇陛下(今上天皇)は第125代です。皇室が125代も続き、2600年以上にわたってひとつの国が続いてきたという例は、世界において日本のほかにはありません。
③中国は4千数百年の歴史があるといわれますが、王朝が30回も交代しています。ひとつの王朝の平均寿命は150年くらいしかありません。しかもその中で、漢、宋、明以外は、漢民族がつくった王朝ではありません。
④日本の国づくり(建国)については古事記や日本書紀に詳しく記されていますが、今日は皆さんが日本国民として最低限知っておかねばならないことについて勉強しましょう。日本が統一国家になる以前は、いくつもの部族に分かれ、お互いが争っている状態でした。神武天皇は、それらをまとめあげるために様々な抵抗にあい、苦難を重ねますが、ついに大和(やまと)において統一の大事業を成し遂げられます。
⑤そして橿原(奈良県・かしはら)に都をひらかれて、日本の国を建国し第1代の天皇に即位されたことを宣言されました。それが日本建国の理想といわれるものです。会社には会社の創立の理念があり、学校にも建学の精神があって、それがその会社なり学校なりの個性なのです。同じように国家の建国の理想なり精神はその国家の個性すなわち国柄(国体)そのものなのです。ですから世界の国々は総てそれぞれの建国の理想をかかげて、国民の意識を統一しているのです。
⑥日本の建国の理想と精神は、皇室の祖先とされているアマテラス大神がその孫ニニギノミコトに、皇位継承の証である「三種の神器」(さんしゅのじんぎ)「ヤタノ鏡・アメノムラクモノ剣・ヤサカニノ勾玉」を授けて、天上から地上に降されたときのお言葉が元になっています。
「この日本の国は、私の子孫である皇室が、天皇として治める国です。それは天地が永久に存続するようにいついつまでも、永遠に栄えていくでしょう」
⑦神武天皇はその天孫ニニギノミコトから数えて4代目になりますが、その建国即位の宣言のお言葉は次の内容です。これが日本の建国の理想と精神なのです。(日本書紀・現代語訳~文責野田)
「自分は聖人の自覚をもって、国家としての制度を作っていくが、それは時代に応じて柔軟に対応するものです。いやしくも国民に利益があることならば、聖人の行う政治にとって何の妨げもありません。(国民のための政治が天皇の行う政治であるという意味)山林を拓いて皇居を作り、つつしんで天皇の位に就いてすべての元の元であり大御宝(おおみたから)である国民を治めていきます。アマテラス大神がニニギノミコトにこの国を授けられた天徳にこたえ、祖先の行ってこられた道義正しい心を広めていきます。その後に、ひとつの屋根の下で家族のように仲良く暮らせる世界にしていこうではありませんか」
⑧世界一家の理想
パール・S・ビース博士(エール大学教授)は
「人類は5千年の歴史と二度の世界大戦の惨禍を経験した結果、ひとつの世界を理想とする国連憲章を結んだが、日本の建国者は、二千年も前の建国の当初に世界一家の理想を述べている。これは人類文化史上、注目されるべき発言であろう」と、高く評価しています。
⑨国民本位主義 (国民を元とする主義)
上記建国の理想と精神の特徴として注目すべきは、徹底した「国民本位主義」で貫かれている点です。諸外国の皇帝や権力者たちは、土地や国民を私有して支配して権勢を欲しいままにするのが常でしたが、日本の歴代の天皇はこの神武天皇の精神に則って、そのような考えを排斥されてこられました。天皇が政治をされることを「シラス」といいますが、その意味は「国民の利益を図って統治する」ということで、国民の生活や希望、苦しみをよく「知って」衆議を尽くして(みんなでよく話し合って)国を治め、国民を「大御宝」と大切にして、国民が不安なく暮らせる様にしていくことが、わが国の建国の精神だったのです。
日本に民主主義が入ってきたのは、第二次世界大戦で日本が敗戦国になってアメリカによってもたらされたのだと、いわれていますがとんでもない間違いだと分かったでしょう。日本は2600年以上も前の建国のときから、今の民主主義よりもっと優れた「国民本位主義」の国であったのです。もちろん長い歴史の中では、時の為政者がこの建国の精神を無視して、国民を苦しめたこともありました。しかしその後で必ず神武精神に還ろうという動きが起こって、刷新されてきたのです。これを「維新」といいます。外国では「革命」がおこって歴史が断絶してきましたが、日本では建国の精神すなわち「原点」に還って出直すという歴史の繰り返しでしたから、日本の歴史には「断絶」がなかったのです。
⑩徳治主義と道義国家さらに日本は経済や権力で国民を支配するのではなく、「徳」のもつ力で治めていく国であること、外に向かっては「道義」を実現する国家であることが、建国の精神でうたわれています。明治維新後の日本の近代史は、まさに「道義」を貫いた歴史でした。日清・日露そして大東亜という3度の国運をかけた戦争によって、白人による有色人種支配の植民地時代を終わらせたのですから。
⑪限られた時間ですから核心の部分だけしか話せませんでしたが、私たちの祖国日本は、世界に二つとない悠久の歴史と高度な精神文明と尊い「国柄」の国なのだということをわかって欲しいのです。そのことに思いをいたすのが「建国記念の日」だと思います。そして日本人としての誇りと自覚を高め、真に生きがいある人生にして欲しいと願っています。