第8回 「願いはこうして叶える」
明日2月3日は節分ですね。「鬼は外 福は内」と豆をまきますが、これは怒りや嘆きや不安などの悪い感情を心の中から追い出して「福の神」を呼び込むという、日本の昔から伝わる年中行事の一つです。この1年間が家族全員にとって無病息災(病気や事故などないこと)でありますようにという「願い」が込められているのです。今日はその「願い」はこうすれば実現できるという「秘密の方法」について話しましょう。
君も知っていると思うけど、スクール・ウォーズという映画のモデルになった山口良治先生と伏見工業高校の話しをしましょう。ラグビーの全日本代表を10年務めた山口良治先生が、荒れに荒れていた伏見工業高校に赴任して1年目、ラグビー部の顧問になって描いたイメージは、京都府の決勝戦で伏見工業が勝って優勝する光景でした。観客席には応援に来た大勢の生徒や先生たちが歓喜し、翌日の新聞に大きくカラーで伏見工業初優勝の見出しが躍るきわめてリアルな光景だったそうです。
その年の大会は1回戦で強豪花園高校に112対ゼロで惨敗しました。しかしその1年後、同じ花園高校に勝って本当に京都府で優勝してしまったのです。その後何回も全国制覇を成し遂げる全国トップの強豪校になっていくのですが、それは山口先生が赴任されたときの最初のイメージ(願い)が実現していったプロセスだったのです。
山口先生は、荒れた伏見工業を立て直す為にも、そしてご自分のキャリアを生かして生徒に還元するためにも、どうしてもラグビー部を優勝させたいと願ったのです。今のチームが如何に弱かろうと関係なく、しかも強烈に…。
次にその瞬間を明確にイメージした。そして優勝したときの感激を頭の中でいつも感じていたそうです。そうしたら山口先生がラグビー部の監督になり、生徒たちが本気になり、全ての状況が動いて、優勝してしまった。
山口先生に限らず、スポーツであれ事業であれ世界中の成功者の回顧談を読んでみると、共通した法則があることに気がつきます。それは、まず「願う」、次にその願いが実現することを「信じる」、そしてその願いが「実現したときの気分になる」という3つのプロセスがあるということです。
まず何より大事なことは、如何に強く願うことができるかということです。そしてその願望が本物であるかどうかが大事です。山口先生の願いは伏見工業を立て直すという使命感から出たものでした。だから強烈だったし本物だった。それが自分の名誉の為とかから出た願いであったならたいしたことではなかったはずです。ここが一つ目のポイントです。君の新年の目標が、例えば就職を決定するということだったなら、就職をしてパートをしながら苦労して育ててくれたお母さんを楽にしてあげたいという思いを加えるのです。すると自分だけの願いだったのがもっと大きく広がって本物の願いに近づくのです。
次にその願いは必ず実現すると信じきることが大事なのです。半信半疑ではうやむやな結果しか生じません。結果は信じたとおりになるのです。信じるということは実現したときの状況を心の中のスクリーンにはっきりと映像で映し出してイメージするということです。山口先生は京都府の大会で優勝した瞬間をはっきりとイメージしていたといいましたよね。それが大事なのです。君の場合だったら希望する会社から採用決定の通知が来て、進路担当で3年生の担任の福山先生から「合格したよ!」と電話で連絡が入った状況をイメージするのです。
そしてもう一つプロセスがあります。それは就職が決定したときの喜びをいつも心の中に持つことです。願いが実現したら嬉しいに決まっているよね。その願いが実現することを信じるということは、実現したときの嬉しい気持ちになるということでもあるのです。そして感謝する。
この3つのプロセスを実行してごらん。すると必ず君が立てた目標や願いは実現するから…。
私の長女がそのことを体験しました。数年前、瀬戸内海に浮かぶ直島という小さな島に日本三大美術館のひとつといわれている地中美術館がありますが、美術愛好家の彼女は休みを取って見学にいったそうです。そして感動した彼女はその地中博物館で働いている自分をその場でしっかりイメージしたというのです。この美術館は外国からのお客さんも多く、そこで働くには英会話ができなくてはなりません。そこで娘はアルバイトをがんばってイギリスに留学することにしました。1年間の留学を終えて帰国した早々、地中美術館に自分の思いを込めて手紙を書き、履歴書とともに送りました。するとどうでしょう。別に募集していたわけでもないのに、書類選考だけで採用が決まったのです。後で事情通の方に聞きましたらこの美術館で働きたいという希望者はとても多くて、東京藝術大学の学生でもなかなか入れないそうです。娘は、願いが実現するプロセスを無意識の内に実行していたのです。
この原稿を書いていた時のことです。町の書店で「思考は現実化する」という分厚い本を見つけました。この本は、著者のナポレオン・ヒル(1883~1970)が、世界の鉄鋼王と呼ばれ世界1の大富豪として有名だったカーネギーの依頼により、20年の歳月をかけて全米の成功者500人を取材して、誰にでも共通する「成功哲学」として体系化したものでした。その成功哲学の結論が「思考は現実化する」という本の題名となっています。世界中の成功者といわれる人々は、「願う」「信じる」「感謝する」という3つのプロセスを実践した人々だったのです。
今日君は、この重大な「秘密」を既に知ってしまいました。今からの君の人生は輝かしいものになることでしょう。私はそれを楽しみにしています。