「戦後後遺症」からの脱皮~憲法へ自衛隊の明記を~
1、憲法の平和主義と自衛隊
(1)自衛隊は「憲法違反ではない!」
①憲法の前文で規定されている「平和主義」の基本的な考え方の最後は、次の通りです。(わかりやすい文章にしました。文責;野田将晴)
「政治道徳に従って、自国の国家主権を維持し、他国と対等の関係に立つことが各主権国家の責務である」
②「政治道徳」というのは、「自国も他国も、共に平和で発展することを願って行動する」ことです。
③「自国の主権を維持する」ことは、主権国家である我が国にとって最大の責務だということです。これが憲法前文の平和主義の基本です。
④「国家主権を維持する」ために自衛隊が存在しています。ですから自衛隊は、日本国憲法前文の平和主義の考え方に基づいています。以上が自衛隊は憲法違反ではないとする根拠です。
⑤国連憲章でも、その第51条ですべての加盟国の「個別的及び集団的自衛権」を国家固有の権利として認めています。
(2)しかし、自衛隊違憲論が国論を2分している、その理由は?
①憲法は、前文で基本的な考えが書かれており、本文でそれを条文として規定しています。しかし、憲法の本文中「侵略戦争の放棄」を定めた第9条に、自衛隊について何も書かれていないことが、自衛隊違憲論の根拠となってきました。
②では何故、書かれていないのでしょうか。
その理由は簡単なことです。憲法が施行されたのが昭和22年(1947年)5月3日、自衛隊が創設されたのが昭和29年(1954年)7月1日です。つまり憲法が施行されて7年後に自衛隊が誕生したのです。創設時に憲法は改正されるべきでしたが、当時はそれができるような状況ではなかった。それだけのことです。
③つまり前文の平和主義の中では合憲と解釈できるけど、「本文に何も書かれていないから憲法違反だといわれてきた」というわけです。
2、戦後後遺症からの脱皮を!!
(1)戦後後遺症
①大東亜戦争の敗戦から始まった戦後という時代は、戦勝国による我が国への「報復」と「賠償要求」と「無力化」から始まった異常な時代でした。「報復と賠償」問題は、その後、わが国民に塗炭の苦しみを与えましたが、日本国民の頑張りで見事に乗り越え、今や、かつての敵国の総大将であったアメリカの最大の同盟国として、世界の平和と発展に大きな期待が寄せられる存在になりました。
しかし、「無力化」の問題は、いまだに解決していません。戦後後遺症となって今も続いているのです。
それが自衛隊の違憲論争です。
②国家主権を維持することは国家にとって最大の責務であると、先に学習しました。
ところが、その国家最大の責務を担う自衛隊に対して、7割を超える護憲派の憲法学者や護憲派政党やマスコミなどが、「戦後後遺症からの脱皮」に強固に反対しています。
戦後後遺症から脱皮しない限り、戦後という異常な時代は終わらず、後遺症の病状がさらに悪化して、我が国の命取りになりかねないところまで来ているのです。
(2)「護憲論」は「占領軍の意向の忖度(そんたく)」だ!
①8月号で学んだとおり、これらの「護憲論=空想的平和主義」は、占領軍つまり当時の米軍の意向への忖度でしかありません。占領軍の意向は、「日本無力化」でした。「無力化」とは、「国家主権を自分の力で守れない国にする」という意味です。そして無力な国家の運命は、「他国への隷従」(奴隷のように支配されること)か、それとも「国家消滅」か、二つに一つしかないのです。
②その護憲論が忖度してきた「占領軍=米軍の日本無力化の意向」は、とっくの昔に過去のものとなり、今や日米は安倍内閣の下で過去最良の関係にあって、米国の最大の同盟国として、世界の平和と発展に貢献することが期待されているのです。つまり、米国の意向は、今や「日本無力化」どころか「日本強国化」なのです。
②したがって「護憲論」の本質である「米国への忖度」は、茶番でしかありません。茶番が「茶番だった」で済むならばまだ救いようがありますが、その結果が「中国への隷従」か「日本消滅」なのですから、看過するわけにはいきません。このことこそ、「戦後後遺症の正体」なのです。
3、「自衛隊を憲法に明記する」ことこそ、「戦後後遺症」からの脱皮
(1)自衛隊を憲法に明記する構想
現在国会で議論されているのは、憲法9条はそのまま残して、新たに自衛隊の存在を明記した条文を加える案です。
(2)自衛隊を憲法に明記して「戦後後遺症からの脱皮」を!
①前文の平和主義を9条に反映させること
前文の平和主義では合憲と解釈できる自衛隊が本文に書かれていないことが戦後後遺症を引き起こしてきました。憲法本文に明記することで戦後後遺症が完治します。
②自衛隊違憲論に終止符を打つこと
自衛隊違憲論に終止符を打って、現実論に立った「安全保障政策」の議論ができるようになります。
③自衛隊員の誇りと使命感を高めること
自衛隊違憲論が終焉することで、自衛官の「国家主権と国民の命や財産を守る任務」に対する誇りと使命感が高まります。
④抑止力を高めて平和を守ること
中国や北朝鮮など国際社会に向けて、日本国民の国を守る意志を示し、我が国への主権侵害を未然に思いとどまらせて、平和を守ることになります。
(3)主権者にとって憲法改正権の初めての行使
①憲法改正権は、主権者にとって最大の権利です。
憲法改正は主権者である国民が最終的に「国民投票」で決めることになっています。
②制定時から時代は大きく変わりましたが、憲法は一度も改正されていません。
今の憲法が施行されて71年(平成30年現在)となりましたが、一度も改正されていません。時代の変化に応じて憲法も変わらなければ取り残されてしまいます。
③世界各国の憲法は頻繁(ひんぱん)に改正されています。
米国18回、ドイツ59回、フランス24回、韓国8回、中国1949年以降4つの憲法が制定され、2017年現行憲法5回目の改正
4、選ぶのはあなたです。
(1)憲法改正国民投票
憲法改正は、国会が発議し、国民投票(過半数の賛成)で、決定します。
(2)あなたの選択はどっち?~自衛隊を憲法に明記する憲法改正案に~
〇賛成 戦後後遺症は全快し、我が国の平和が守られ、国際社会の安定と発展に寄与できる国になる。
〇反対 戦後後遺症が悪化し、中国の「倭人(わじん)自治区」となって、国家主権も国民の人権も奪われ、日本が地球上から永遠に消滅する。