学校に行きたくないという感情について
「学校に行きたくない」… 誰しも一度は感じたことのある感情ではないでしょうか。
多かれ少なかれ「学校に行きたくない」という感情を抱くことは誰にでもあるので、自分を責めたり、深く思い悩んだりしなくても大丈夫です。
今回は「学校に行きたくない」と感じる中高生の気持ちや、理由、その対処法をご紹介します。
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学校に行きたくないという感情がもたらす影響とは
学校に行くのがつらい子どもに、頭痛や腹痛、不眠や食欲不振といった体の症状が出ることはよくあります。
本人としては、「学校に行きたいけれど、体が言うことを聞いてくれない」と感じている場合もあるかもしれません。
また、気分が落ち込む、怒りっぽくイライラする、ぼんやりして頭が働かないといった気分や思考力の変化や、ゲームやSNSへの執着が激しくなる、宿題が手につかない、外出するのが億劫といった、行動面の変化が見られることもあります。(スクールカウンセラー筆)
学校に行きたくない中高生の心理
学校に行きたくないと感じる中高生の心理状態
なんとなく「学校に行きたくない」と感じたとき、またわが子が「学校に行きたくない」と言ったとき、その言葉の影には、どんな気持ちが隠れているのでしょうか。
よく聞く相談が「長期休み明けから学校に行けなくなった」という内容です。
学校に行きたくないと感じる中学生、高校生は、夏休み明け、冬休み明け、ゴールデンウィーク明けなど数日以上休みが続き、いざ明日から学校だという日にどうしても気分がのらない、学校に行きたくないという気持ちになる人が多いようです。
他にも、学校に行きたくないと感じる高校生は、遠方から電車やバスを乗り継いで通学している人も少なくなく、単純に学校に行くのが面倒くさいという感情になりやすかったり、日々の疲れの蓄積で早起きができず億劫になったりする人もいます。
早起きができない原因は、単純な疲れもありますが、中には起立性調節障害をはじめとした、10代に多い自律神経系の病気が潜んでいる場合もあります。
また、中には理由はないけど、なんとなく学校に行きたくないという感情を持つ人も少なくありません。
理由がないからこそ、モチベーションのあげ方や気持ちの折り合いのつけ方がわからず、どんどん悩みのループに陥っていく人も多いようです。
そして、理由がないからこそ対処法や打つ手がなく悩んでいる保護者の方も多くいらっしゃいます。
さまざまな理由はありますが、共通していることは「行かなければいけない、でも行きたくない」という葛藤です。
学校に行きたくないと感じる中高生の特徴・理由
では、学校に行きたくないと感じやすい中学生・高校生について、その理由をご紹介します。
これまで学校に行きたくないという相談を聞いている中で、共通している中高生の理由は
・嫌いな先生がいるなど、人間関係にストレスがある
・学校に行かなかったことで劣等感を感じている
・学習に対するストレスやプレッシャーがある
などがあげられます。
そして、これらの理由で学校に行きたくないと感じる中学生や高校生は、「自分にはできない」や「自分はダメな人間ではないか」など、自己肯定感や自己評価が低くなっている場合もあります。
勇志国際高校では「長所を認め、長所を伸ばす」指導方針を教職員全員が実践しており、生徒一人ひとりがなりたい自分を見つけられる豊富なコンテンツを準備し、それに近づけるよう日々声掛け、サポートしています。
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小中高生で異なる学校に行きたくない理由とは
まず小学生の場合は、お友達とケンカした、席替えで苦手な人と席が隣になった、嫌いな授業がある、先生が怖いなど人間関係や苦手なことに対するマイナスな意識が大きく関わっています。
特に友人関係の問題は、学年が上がるごとに増える傾向にあるようです。
次に、中学生の「学校に行きたくない」不登校の主たる原因のトップ3は
・無気力、不安
・友人関係の問題(いじめを除く)
・生活リズムの乱れ、非行、遊び
となっています。
これらの原因の背景には、さらにさまざまな原因が絡んでいることが多くあります。
文部科学省による不登校の理由に関するデータを見ると、「学習面において小学校よりも難しくなりついていけない、挫折した」「宿題が多すぎてこなせない」という理由が挙げられています。
他にも人間関係による理由としては、「集団の中に入ることに強く緊張し、その緊張感が高まると体に症状が出る」や「周囲に同調する気疲れ」などがあげられます。
中学生になると、周りの人と比較した「自分」に気づく時期となります。
比較したときに、自分の長所や自分らしさ、自分だけのよさに気づける中学生は少ないのではないでしょうか。
そのため、周りに同調しようと自分を抑え我慢しすぎたり、人といることにストレスを感じてしまったりする中学生も多くなっているようです。
最後に、高校生の「学校に行きたくない」不登校の主たる原因のトップ3は
・生活リズムの乱れ、非行、遊び
・入学、進級時の不適応
・友人関係の問題(いじめを除く)
となっています。
高校生になると、自然と「自立」に向けて行動をはじめる時期になります。
そのため、保護者の干渉を嫌ったり、逆に保護者の方があまり干渉しなくなったりする時期です。
さらにアルバイトを始め、関わる人間関係や金銭面でも大きく環境が変化しやすい時期でもあり、目の前の楽しさや遊びに没頭してしまう時期でもあります。また、中学生の頃、保護者の期待をはじめ、なんらかの理由で自分の意思で進学先を決めなかったときなど、学校への不適応から入学後にストレスを抱える高校生も少なくありません。
学校に行きたくない感情の対処法をご紹介
「学校に行きたくない」と我が子が言ったとき、親の自分には何ができるのだろうと悩まれている方も少なくありません。
決して親御さんが悪いのではありません。
ただ、忙しい毎日の中で少し立ち止まり、これまで、そしてこれからの親子の在り方について考えるいい機会になるかもしれません。
ここでは、「学校に行きたくない」という感情を持つ我が子の気持ちに寄り添うこと、子どもへの接し方や対処法をスクールカウンセラーよりご紹介します。
対処法1:保護者が自分自身の感情に気づき、整理する
子どもに寄り添うことが望ましいとはわかっていても、むしろ親だからこそ子どもの気持ちを理解できないこともあります。
子どもが学校に行きたくないとなれば、保護者自身にもさまざまな感情が湧いてきます。
「自分の育て方が悪かったのかも」、「このまま子どもが社会に出られなかったらどうしよう」、「子どもが苦しんでいると自分もつらい」…
こういった親自身の不安や苦痛、焦りが心の中にあふれていると、子どもを理解しようとする心の余裕がなくなります。
自分の感情を抑え込んで無理して子どもに寄り添おうとしても、雰囲気や言動から親の不安は子どもに伝わってしまうでしょう。
まずは保護者自身が自分の感情に気づき、整理し、気持ちを落ち着けることが大切です。
対処法2:子どもの感情を理解したいことを伝える
中には学校に行きたくない理由を言葉で表現できる子もいますが、自分でもよくわからなかったり、本当の気持ちを話すのに抵抗があったりする子のほうが多いと思います。
「学校に行きたくない自分なんて受け入れられない」と、自分の気持ちにフタをしている子もいるでしょう。
「少しでも否定されたら耐えられない」、「心配そうな表情の親を見るのがつらい」と、自分の心を守るので精一杯なので、親との対話を避けがちになっても無理はありません。
保護者自身が自分の感情を整理して少し落ちついた頃、子どものさまざまな感情を受けとめる余裕ができたことが雰囲気や言動で子どもに伝われば、子どもは自分のペースやタイミングで、少しずつ自分の気持ちを話してくれるかもしれません。
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対処法3:プロフェッショナルな助けを求める
家族や友達など話しやすい身近な人に助けを求めることもおすすめですが、身近な人に話すのは逆に勇気が必要な人もいると思います。
恥ずかしさや気まずさなど、いろいろな感情があることでしょう。
そのような場合におすすめなのが、公的機関やカウンセラーなどプロに相談するという方法です。
スクールカウンセラーやソーシャルスクールワーカー、またNPO法人や公的機関が行っている、電話・メール・LINEを利用して気軽に相談できるサービスもあります。
これまでの豊富な経験をもとに、身近な人とは違った角度から解決策や提案をもらえるメリットがあります。
知らない人に悩みを打ち明けることに抵抗がある人もいるかもしれませんが、一人で悩まず、ぜひ利用してみてください。
きっと一人ではたどり着けなかった答えに出会えるはずです。
明確な解決策にたどり着けなかった場合でも、ただ話を誰かに聞いてもらうだけで気持ちに余裕が出たり、心が晴れ晴れしたり、プラスの影響が期待できます。
勇志国際高校にも専属のスクールカウンセラーがおり、学校のこと、家庭のことなど気軽に相談できる環境があります。
スクールカウンセラーへの相談は、いつでもオンライン予約でき、生徒だけでなく保護者の方も利用できる点も大変好評です。
対処法4:通信制高校に通うなど選択肢を増やす
最後にご紹介するのが、環境を変えて新たな一歩を踏み出せる選択肢を増やすということです。
今、この記事を読んでくださっている方が高校生の場合、毎日通学する全日制高校から、必要最低限の通学日数で高校卒業を目指せる通信制高校へ転校するという選択肢もあります。
現在はたくさんの通信制高校があり、勇志国際高校では年間5日間の登校のみで高校卒業資格が取れる「ネット生」、週1~5日登校日数を選べる「通学生」の2つのスタイルから自分に合った高校生活スタイルを選択して、自分のペースで高校卒業を目指せます。
さらに、「ネット生」と「通学生」の年度途中のスタイル変更も可能なので、体調やメンタル面に向き合いながら徐々に「なりたい自分」にステップアップすることもできます。
通信制高校で特に自宅で高校生活を送るネット生だと、「人との関わりが減ってしまうのではないか」、「生活リズムが崩れてしまうのではないか」と不安になる人もいるでしょう。
勇志国際高校は、毎朝のオンラインショートホームルームやオンライン自習室、リアルタイム配信の「Growth Program(ネットライブ授業)」があるので、生活リズムを整えやすく、さらにコミュニケーションツールslackで先生や全国の勇志国際高校の仲間とリアルタイムでつながり、気軽にコミュニケーションをとれることも魅力です。
中学生の場合は、フリースクールなど学校ではない学べる居場所を探すという選択肢もあります。
勇志国際高校が運営するフリースクール『勇志国際中等部』は、自宅から自分のペースで学びを深められるオンラインフリースクールです。
中等部も勇志国際高校同様、ネット生と通学生の2つのスタイルがあり、通学生の場合は、福岡学習センター、宮崎学習センターに通学することができます。
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学校に行きたくない子を持つ親としてできること
学校に行きたくないと悩む子どもに、親として何ができるのか。
スクールカウンセラーよりご紹介します。
温かいコミュニケーションをとる
学校に行きたくないかどうかに関わらず、家族間のコミュニケーションが良い雰囲気であることは、親子の心を元気にすることでしょう。
改まったことをしなくても、挨拶、雑談、食事、遊び、スポーツ、自然とのふれあいなど、子どもへの温かい気持ちを伝えられる機会はたくさんあります。
親子の個性や好みを活かして、自分たちに合った方法を工夫できたら楽しいですね。
子どもから話してくれたことを遮らず最後まで聞くことや、「〇〇はどう思う?」と子どもの考えをたずねてみることも、子どもの感情や考えを大切にしたい気持ちが伝わると思います。
学校に行けないことについて、いろいろな考え方を知る
前述した通り、「学校に行きたくない」という感情は多かれ少なかれ、誰しも抱くごく普通の感情です。
「学校に行くのが普通」という価値観は、少しずつ変わってきてはいるものの、やはり根強く残っています。
そのため、親だけでなく子ども自身も学校に行かないことをネガティブに受けとめてしまうことは、ある意味自然だと思います。
しかし、不登校経験者やその家族の中には、「不登校を経験して良かった」と語る人たちも少なくありません。
「学校に行きたくない」と子どもが言うことは、「自分の力ではどうしようもないときに人に助けを求める」という貴重な経験になるかもしれません。
また、学校に行かない経験を通して、「世間体にとらわれず自分の頭で考えられるようになった」、「学校の外に広い世界が広がっていることがわかった」、「一度つまずいても、いつでもやり直せると知った」、「困っている人の気持ちがわかるようになった」など、大切なことを学び、成長する子どももたくさんいます。
保護者側も、子どもが学校に行きたくなくなることをきっかけに、家族の関係や自分の人生について気づきを得て、親として成長し、より充実した生き方ができるようになることもあります。
また、学校に行かない子どもの数は年々増えており、もはや個人や家庭だけの問題ではなく、社会全体の課題といえます。
学校に行きたくない子どもの存在が、現在の教育システムに変革を促し、よりよい社会を創っていく一石になる可能性もあるのです。
このように、子どもが学校に行きたくないことの意味を柔軟にとらえる考え方が、子どもが葛藤を乗り越えるベースになると思います。
子供をサポートするための具体的な行動を起こす
今とは違う進路選択を検討している場合、インターネット検索やSNSを利用して、通信制高校を探して資料請求してみましょう。
エリアやタイプ別で一括資料請求ができるサイトもたくさんあります。
勇志国際高校は、LINEから簡単に資料請求、相談ができます。
匿名でとりあえず相談したい、学費の見積もりだけしてみたいという方にもおすすめです。
さらに、zoomを使った個別相談も随時行っています。
自宅から気軽に相談、説明を聞くことができます。
直接職員の顔を見てお話しできるので、パンフレットやホームページでは伝えられない学校の雰囲気を感じ取っていただけます。
ぜひご活用ください。
学校や専門家と協力する
現在の学校にスクールカウンセラーやソーシャルスクールワーカーなど相談できる人がいる場合は、担任の先生を通して相談してみましょう。
また心療内科で専門的な心のケアを受け、あなたに合った最善の方法を一緒に考えてくれる機関を利用するのもひとつの方法です。
勇志国際高校では、関係機関との連携にも力を入れており、安心した学校生活となるようチームでサポートしています。
親としての注意点
注意点1:無理をしない
真面目な保護者の方ほど、学校に行きたくない子どもに対して「良い」とされていることを実践しようと、無理をしてしまうこともあります。その結果、例えば言葉では「学校を休んでいいよ」と言いながらも、「学校に行ってほしい」という気持ちが雰囲気や行動に表れてしまい、親も子も苦しくなってしまいます。また、子どもが学校に行くかどうかということが親の人生の一大事となり、親自身の人生が疎かになることで、結果的に親も子どももエネルギーを失っていくこともありえます。無理をしすぎず、親自身が自分の人生を大切にすることが、子ども自身の成長にもプラスの影響を与えると思います。
注意点2:孤立しない
子どもが学校に行かなくなることで、周囲の無理解に傷ついたり、問題なく過ごしているように見える他の人たちと距離を置きたくなったりすることもあるでしょう。
「自分の気持ちなんて誰にもわかってもらえない」そんなふうに感じることもあるかもしれません。
それでも、自分たちの気持ちをわかってくれる人を、あきらめずに探してみることをおすすめします。
養護教諭やスクールカウンセラー、病院や相談機関でもいいですし、習い事の先生や同じ悩みを抱えた保護者のグループでもいいと思います。
必ずしも専門家である必要はありません。一緒に考えあえる仲間とつながっていることが、子どもが葛藤を乗り越える過程を支える上で大きな力になります。
まとめ
中学生や高校生が「学校に行きたくない」という感情を抱くことは、珍しいことではありません。
一見、「学校に行きたくない」というワードは、ネガティブに捉えがちですが、視点を変えると、親子でコミュニケーションをとるいいきっかけになったり、新たな道を知る機会になったりと、視野が広がるというメリットもあります。
本人も、保護者の方も決して一人で悩まず、信頼できる人や専門機関に相談してみてください。
みなさんが笑顔で過ごせる日が1日でも早く戻るきっかけになれば幸いです。